最近話題の教育勅語

最近、教育勅語がなんちゃらってニュースで見かけた
以下、俺が思うこと





事の発端は稲田朋美防衛相が、参院予算委員会で「教育勅語の精神は取り戻すべきだと考えている」と持論を展開した
この意見に対して危険思想であると反論があったらしい



教育勅語の正式名称は「教育ニ関スル勅語」
Google先生いわく、勅語とは「天皇が国民に対して発する意思表示の言葉」
つまり平たく言えば「教育に関しての天皇のお言葉」なんだな

あくまで「お言葉」であって、「勅命(=天皇の命令)」ではない
ここんところをまず注意



黒船が来航し、日本は列強の植民地になる危機を迎えていた
これは元寇以来、約600年ぶりの国難

明治維新は達成したものの、日本は外国と比べればまだまだ国力が劣ってる
長州は下関戦争で欧米連合軍に敗れた
同じく薩摩は戦闘面ではイギリス海軍に辛勝したものの、英国軍の報復を恐れたのと同時に幕府の経済力を削るためにあえて敗北の道を選んだ

幕府を倒したこの2藩ですら、欧米列強の軍事力を危惧してた
この事実がまず背景としてある



そこで当時の日本の課題は次の2つ

1つ目は「国力を高めること」
分かりやすいスローガンでいえば「富国強兵」

2つ目は「日本を1つにまとめること」
江戸幕府まで続いた藩とは、それぞれが独立した国に近い
だから他の藩へ行く時は手形(=パスポート)が必要で、脱藩(=密入国)したら死刑だった
それらの藩を1つにまとめ上げる必要があった
今も昔も、日本を1つにまとめるための大義名分は天皇の御威光しかない
だから教育の場で天皇による勅語が必要となった




で、話を戻して教育勅語
これは江戸時代の言葉だけあって、現代の日本人にはわかりづらい
だから、解釈によって意味が分かれてしまっている


教育勅語では明治天皇によって皇室に伝わる「永久不変の道徳」が説かれている

1.父母に孝行しなさい
2.兄弟仲良くしなさい
3.夫婦は仲睦まじく在りなさい
4.友達とは信じ合いなさい
5.行動は慎み深く在りなさい
6.他者に博愛の手を差し伸べなさい
7.学問を修めなさい
8.仕事を習いなさい
9.それら(学問と仕事)によって能力を高めなさい
10.徳行と器量を身に付けなさい
11.進んで公共のために尽くしなさい
12.世の務めを果たしなさい
13.法律を守りなさい




で、問題になっているのが次の一文
「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」

左翼はこの一文を「戦争になったら天皇のために死になさい」と訳している
右翼はこの一文を「国の一大事があったら義勇を発揮して公に奉じて、皇国のために尽くしなさい」と訳してる

ここにすれ違いがあるんだな



まず緩急とは「差し迫った事態」、つまり緊急性を伴う問題を指している
国家でいえば戦争はもちろんだが、他に東日本大震災級の天災なども当然含まれる

「天壌無窮」とは「天地と共に永遠に続く」という意味
深い意味はなくて、次の「皇運」を修飾してるだけ

「皇運」とは「天皇と皇室の運」を指し、「扶翼」とは「助けること」を意味する
運とは「ラッキー」の事じゃなくて、「命運」のことね
分かりやすくいえば「皇室の命運」って意味



つまり、上の「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」を俺の言葉で訳するとこうなる
「一度差し迫った事態が起こったら義勇を発揮して周りのために頑張ること。そうして、天地と共に永遠に続く皇運を助けなさい」

誰も戦争がどうとか、天皇のために死ねなんて言ってない
右翼がいう「国のために尽くしなさい」ともちょっと違う
俺はそう考えてる



そもそも、「天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」は「一旦緩急」についてだけではなく、上の1~14の徳目を全て守った上で初めて成り立つものだと俺は思う
学者達は徳目の14個目を「国の一大事には公のために尽くし、皇室を助ける事」と1つにまとめてるけど



てか「一旦緩急アレハ」だけど、具体的に何に対して緩急があった場合の話かが書かれてない
「一旦(日本国ニ対シテ)緩急アレハ」と解釈する見方は当然ある


でも俺は「公ニ奉シ」とある以上、「公(おおやけ)に影響する緊急事態が発生した時は~」と解釈してて、国限定とはみなしてない
場合によっては日本国のみならず、国際社会全体に触れているとも解釈できる
たとえ建前だったとしても、アジア全体を考えて「大東亜共栄圏」を築き上げようとしてた時みたいに

右翼が大好きな「七生報国」のみならず、左翼が大好きな「国際貢献」も視野に入った、実に広い言葉なのだよ
国際貢献をして日本が活躍すれば、外国による皇室への支援も当然期待できるし

ね?
永久不変の道徳でしょ?





俺は「親孝行をしなさい、兄弟仲良くしなさい、~、公の一大事には団結しなさい」までの14箇条を徳目と考えている
そして最後の締めくくりとして「以上14の徳目を守り、そうやって皇室(皇国)の命運を助けなさい」でまとめてると解釈してる



教育勅語の徳目は「助け合いなさい」「能力を高めなさい」の大きく2種類しかない
はっきり言って最後の「天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」は、徳目の1つとするには異質すぎる

だいたい、続きに「斯ノ道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ~」とある
「この道徳は我が祖先による遺訓であって~」って明治天皇は言ってるのに、皇室の遺訓に「皇運ヲ扶翼スヘシ」があるなんて聞いたこともない
てかそれを徳目に含めると「自分自身を助けなさい。それが道徳です」って言ってるようで、言葉の意味がよく分からない




「皇室が天地のレベルで続くなんて、なんて不遜なやつだ!傲慢だ!」って思うのは、現代人では珍しくないかもしれない
特に左翼の人

でもこれは「皇室はすごいんだぞ!永遠に続くんだぞ!」って言いたいんじゃない
実際は言霊なのよ


天皇は古代から自分の願いを口にする事で、「こうありますように」と願掛けをしていた
舒明天皇の「大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立ち立つ 海原は 鴎立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島 大和の国は」の国見歌も言霊の一種だと一部では言われている

「皇室は永久不滅である」と発言することで、それを事実にしようとしてるんだな
前述した通り、この時の日本はいつ滅んでもおかしくない元寇クラスの国難の時だったこともあって



それでも左翼の人は「皇室の終わりが日本の終わりだなんて、思い違いも甚だしい」と思うかもしれない
これも前述したとおり、日本をまとめ上げるには「天皇」の存在しかなかったわけだ

江戸幕府とか将軍程度じゃまず無理
明治維新の指導者で、当時カリスマ中のカリスマだった西郷隆盛でも絶対に無理
天皇、延いては皇室が終わった場合、日本は内部分裂して団結力を失う




「江戸時代の庶民は天皇なんて知らない」と考える人もいるかもしれない
でも俺は当時の庶民は皇室に関してそれなりの知識があったと思う

竹取物語のような昔話には「帝(みかど)」が登場した
お内裏様とお雛様を象った「ひな人形」を飾る文化は既に江戸時代に存在した
天明の大飢饉の時も、幕府が当てにならないがために京の民衆は天皇に助けを求めた
当時のお伊勢さんは日本人にとって死ぬまでに一度は行くべきメッカ
現代も語り継がれる発音練習のういろう売りでも「菊の紋も直々に許され、帝にも認められた由緒正しい薬」と、当時から皇室御用達が宣伝文句の一つであると認識されていた

明治維新後に明治天皇が全国御幸をされた際、民衆たちは天皇が泊まった宿にこぞって集まった
そして泊まった部屋の柱を触って、その手を患部に当てては「これで病気が治る」「これで安産だ」などとありがたがった



百歩譲って民衆が天皇をどういう存在か知らなかったかもしれない
それでも、天皇について「なんか、こう、徳にあふれたすごい人」って認識は間違いなくあった

知らなかったら知らなかったで別に問題はない
それを教えるのが学校教育の場なわけだし

どちらにせよ「日本をまとめるには天皇の存在しかない」「天皇を知らない日本人には天皇の存在を教え、日本を一つにまとめよう」が当時の日本の方針だったのだ






結論
教育勅語を守ることで、左翼が危惧する自体はまず起きない
教育勅語に「戦争が起こったら天皇のために死になさい」なんて意味はまったくないから

しかし一方で、俺としては「教育勅語の精神の復活?別にしなくてもいいんじゃね?」とも考えてる
今の日本は海外から攻められることで消滅する危険はほとんどないし
「平成」というだけある
この元号も言霊だけどね



個人主義が行き過ぎて、道徳面で不安があるかもしれないのは事実
それでも今上天皇が東日本大震災時に、玉音放送を流すことで日本人の心はひとつになってたように思う

なんだかんだ、日本人は今も昔も日本人なのよ
周りの目をすごく気にするし、恥の文化も生きてる
だから俺はそこまで危惧してないのだ


「教育勅語の精神を復活させる」なんて、周りに押し付けるのはあまり好きじゃない
ぶっちゃけ、これらの徳目は他人に押し付けても意味がないのよ

個々人が読んで、心に刻んで、実践して、初めて意味があるのだ

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